2014/07/28

140727川崎1-0新潟(J1 #17)

川崎1-0新潟(等々力, 19:00KO, 19,254人)

川崎は市制90周年記念ということで特別なユニフォームを着用。
いつもより濃い目のブルーで、袖が白いが、見ていて違和感は少なかった。

水曜日の鳥栖戦(J1 #16)も、鳥栖市制60周年の記念試合として開催。
Jクラブが地元のイベントを担当することは、よいことだと思う。

川崎のスターティング・メンバーは3試合連続で同じとなった。
引き続きレナトはベンチスタートとなる。

■1st half
新潟も川崎と同じようにボールを保持するスタイル。
どちらかにボールが渡ると、長い時間、一方の攻撃が続いた。

決定機は川崎が多く作り出したが、新潟にもいい時間帯があった。
どちらかといえば、新潟がボールを保持する時間の方が長くなる。
サイドを使ってよいリズムで攻撃して、川崎は守備に走らされた。

■2nd half
川崎は新潟のプレスを避けて、中村、大島から縦にロングボールを入れる。
そのため、ボールを保持する時間がいつもより短めとなった。
ショートパスで崩すプレーだけではないところを見せる。
60分、大島の縦パスに抜け出した大久保が、森谷にラストパス。
森谷はゴール左隅にきれいにシュートを決めて先制した。

新潟はエリア外からのシュート、アーリークロスなどで攻勢を強める。
しかし、パスの精度は高くはなく、決定的にはならなかった。

川崎も金久保に代えてレナトを投入し、左サイドを中心に攻撃。
新潟は、右SB松原健(27)がレナトをよく抑える。
さらにはGK守田達弥(21)が決定的なシュートを止め、2点目を許さない。
最後は稲本、田中を投入して、適切に時間を使ってゲームを終えた。

■summary
新潟はいいサッカーを見せてくれた。
特にMFレオ・シルバ(8)が攻守に渡って素晴らしいパフォーマンス。
ただ、シュートに結びつくプレーが少なかった。
結果が伴わない時期が続いているが、パスサッカーを続けることができるか。

川崎は連戦による疲労の影響か、ボールロストが目立った。
攻撃も速攻主体となり、パスをたくさんつないでの崩しが少なかった。
それでもしっかり勝利を掴んだ。

次の柏戦まで中5日。
この間、どれだけパフォーマンスを回復することができるか。
引き続き、楽しいサッカーを見たい。


■goal
60森谷賢太郎(19)

■judge
杉山力裕(1) 6.5 完封に貢献。キックの精度が低く、みすみす相手にボールを与えた。
小宮山尊信(8) 6.0 24分、GKとの1対1のシュート。攻め上がることが少なかった。
實藤友紀(2) 6.5 ファウルぎりぎりのプレーでFW田中達也(9)や鈴木武蔵(28)を抑えた。
谷口彰悟(15) 7.0 繰り返されるロングボールを、ヘディングで根気よくクリアした。
登里享平(23) 6.0 ドリブルでPA内侵入やクロス。安易なスライディングでピンチを招く。
中村憲剛(14) 6.5 プレッシングに対抗して、最終ライン裏へのスルーパスを多用した。
大島僚太(16) 6.5 ボールロストもあったが、プレスをかわしながら落ち着いてプレー。
森谷賢太郎(19) 6.5 決勝ゴール。全体的には低い位置取り。攻撃への貢献が少なかった。
金久保順(18) 6.0 味方から近い位置でボールに触った。レナトとは違った魅力を見せた。
大久保嘉人(13) 6.0 シュートもできたが、冷静にDFを引き付けて森谷のゴールをアシスト。
小林悠(11) 6.0 ポストプレーをこなす。トラップからシュートまでの一連の流れは見事。

■sub
63(18)レナト(10) 6.0 縦への突破で慌てさせる。体調が戻ればサブはもったいない。
80(19)稲本潤一(20) 6.0 ボール保持者に強いプレスをかけて、時間を進めた。
90+2(11)田中裕介(3) 5.5 J1再開後は先発していないが、高い意識で備えてほしい。

■bench
新井章太(30) 中澤聡太(7) 可児壮隆(26) 森島康仁(9)

■coach
風間八宏 6.5 戦況を見ながら3枚の交代枠を有効に使った。

■referee
木村博之 6.5 ファウルの判定が適切で、切れ目の少ないゲームを作った。

2014/07/24

140723鳥栖0-1川崎(J1 #16)

鳥栖0-1川崎(ベストアメニティスタジアム, 19:00KO, 23,277人)

鳥栖の市政60周年記念試合。
ちょうど還暦ということで、鳥栖は赤いユニフォームを着用する。
平日開催なのに客席は満員。
特別ユニフォームの着用率も高く、素晴らしい環境でのゲームとなった。

川崎のスターティング・メンバーは前節清水戦(J1 #15)と同じ。
アウェイ3連戦の最後となるが、3試合ともホーム・ユニフォームを着用した。

■1st half
川崎はボールを保持してパスを繰り返す。
ボールホルダーに対する鳥栖のプレスが弱く、ボランチが前を向いてプレー。
森谷、金久保がサイドに開かず、ボランチの近くでパスワークに参加する。
中央からの攻撃が多く、崩せはしないが、鳥栖の選手を走らせて体力を使わせる。

鳥栖の攻撃は、縦に長いボールを蹴って、前線の選手が勝負するものが中心。
決定的な場面も作られていたが、お互いに無失点で前半を終えた。

■2nd half
後半になると、鳥栖がボランチへのマークを強めてくる。
56分、金久保に代えてレナトを投入。
レナトは左サイドで、ドリブル突破を見せていく。
ケガ明けなので無理してほしくないが、よい交代となった。

62分、登里が左サイドからPA内にドリブルで侵入してクロス。
跳ね返されたところを拾い、森谷から再び左サイドの登里にボールが戻る。
登里は躊躇なくドリブルして、GK林彰洋(33)のニアサイドを抜いてゴール。
素晴らしいゴールとなった。

1点リードして68分、森谷に代えてパウリーニョを投入する。
風間監督が勝っている展開で早い時間に選手交代するのは珍しい。
しかし、そのパウリーニョが、18分間で2枚のイエローカードを受けて退場。
イエローに値するファウルを繰り返す残念なプレーだった。

攻勢に出た鳥栖に防戦一方となる。
ボールを奪っても前に蹴るだけで、セカンドボールが拾えない。
波状攻撃を受けるが、ポストや杉山の好セーブに助けられながら、なんとかタイムアップを迎えた。

■summary
川崎のパスワークを防いだ鳥栖の守備は素晴らしかった。
両チームともに過度に守備的になることがなかった。
それぞれの持ち味を生かした攻撃的なサッカーをみせてくれた。
夏の連戦の影響も見られず、最後まで見応えのある内容だった。


■goal
62登里享平(23)

■judge
杉山力裕(1) 7.0 前節に続いて素晴らしいシュートブロックを見せる。完封に導く。
小宮山尊信(8) 6.0 守備に注力していた。攻撃に参加する回数が少なかった。
實藤友紀(2) 6.5 鳥栖のロングボールには手を焼いたが、きちっと守り切った。
谷口彰悟(15) 6.5 FW豊田陽平(11)をマーク。安易にクリアせず、味方につないだ。
登里享平(23) 7.0 左サイドから何度もPA内に入り込む。ニアを破ったゴールは素晴らしい。
中村憲剛(14) 6.0 視野の広いパスを出す。ロスタイムにファイルをもらい時間を使った。
大島僚太(16) 6.0 前を向いてボールを保持して、アグレッシブに縦パスを入れていく。
森谷賢太郎(19) 6.0 良い場面に顔を出してボールに触る。登里の決勝ゴールをアシスト。
金久保順(18) 5.5 中側に位置取って、ボランチをサポート。トリッキーなプレーを見せた。
大久保嘉人(13) 5.5 プレスを受けつつも積極的にミドルシュートを放つ。枠外が多かった。
小林悠(11) 5.5 最前線でパスを受けるが、つぶされることも多かった。

■sub
56(18)レナト(10) 6.5 ゴールは決められなかったが、ドリブルでアクセントを付けた。
68(19)パウリーニョ(34) 3.5 86分にイエロー2枚目。最悪の結果を招いた。
87(11)中澤聡太(7) 6.0 数的不利の状況で投入されると、リードを守り切った。

■bench
西部洋平(21) 田中裕介(3) 稲本潤一(20) 森島康仁(9)

■coach
風間八宏 6.5 パウリーニョの退場は誤算だったが、早目の選手交代で勝利に貢献した。

■referee
松尾一 6.5 見ていてストレスが少ない的確な判定だった。

2014/07/21

140719清水0-2川崎(J1 #15)

清水0-2川崎(IAIスタジアム日本平, 18:00KO, 15,305人)

先発は、火曜日のC大阪戦(J1 #12)の後半のメンバーから、CBジェシを實藤に変える。
實藤は今季リーグ戦初出場で、谷口とCBのコンビを組む。
ジェシは左膝の手術からC大阪戦で復帰したばかり。
無理をさせない意味の休養ならいいが、1試合を終えての具合が心配。

C大阪戦で後半から出場した金久保が、移籍後リーグ戦初先発。
逆に田中がベンチスタートとなった。

■1st half
清水が前線からのプレス、中央からの突破とワイド攻撃で主導権を握る。
いくつか惜しいシーンを作ったが、GK杉山の好守やオフサイドにかかって決められない。
対する川崎はパスワークで対抗するが、ぎこちなく崩しきれず。
チャンスが少ないまま前半を終える。

■2nd half
川崎はショートパスをつなぐが、中央を固める清水の守りに手を焼く。
54分、右サイドで何度もパスをつなぎ、空いたスペースに小宮山が走り込む。
ゴールラインぎりぎりからのクロスを、中央の小林が頭で合わせる。
GK相澤貴志(21)はボールに触れたものの、ゴールが決まった。

続いて62分、森谷がつないで小林がシュート。
ポストに当たって戻ったところを詰めた大久保がゴールに流し込む。

鮮やかなプレーで2点をリードして、ゆったりと時間を使っていく。
前線でチャンスになっても、無理に押し上げることはしない。
途中で投入された稲本、パウリーニョも、清水の攻撃を摘んだ。

川崎のボールを持つ時間が長くなり、清水は守備に追われる。
単発ながらチャンスを作っても、杉山が難しいシュートをブロックする。
そのままゲーム終了となった。

■summary
相澤は2失点したが、好セーブを連発し、良いパフォーマンスを見せた。
これに対して杉山も完封に貢献。どちらのGKも素晴らしかった。

川崎はSBの攻撃参加のタイミングがよかった。
實藤と谷口のCBは、FWノヴァコヴィッチ(18)やFW大前元気(10)のポストプレーをつぶせなかった。
しかし、慌てる場面は少なく破綻しなかった。
ビルトアップでは、どちらもボランチに際どいパスを通す。
ジェシや井川の復帰までに、2人の真価が問われていくこととなる。

攻撃陣は魅惑的なパスワークを繰り広げた。
金久保のボールタッチもスムースな展開に寄与。
ボランチからの長いパスも見られ、楽しいゲームを見ることができた。

■goal
54小林悠(11) 62大久保嘉人(13)

■judge
杉山力裕(1) 7.5 決定的な難しいシュートを多く止めて無失点。勝利の立役者となる。
小宮山尊信(8) 7.0 機を見て上がって攻撃を組み立てる。PA内に侵入してかきまわす。
實藤友紀(2) 6.0 ファウルで止めるシーンが目立つ。ビルドアップではいいパスを供給した。
谷口彰悟(15) 6.0 対人の強さは見られなかったが、相手の攻撃の展開を読んでよく守った。
登里享平(23) 6.0 まずまずの出来だった。エリア近くでの仕掛けにもっと工夫が欲しい。
中村憲剛(14) 6.5 清水DFの裏を長いパスで狙う。トリッキーなワンタッチでリズムを作る。
大島僚太(16) 6.5 ポジションが良く、パスの起点になった。守備も効いていた。
森谷賢太郎(19) 6.5 ゴールは決められなかったが、よく動いていた。CKも任される。
金久保順(18) 6.0 ゲーム開始後はミスがあったが、徐々に馴染みパスの中継点になる。
大久保嘉人(13) 6.5 きちんとゴール前に走り込んで2点目。キープ力でも貢献する。
小林悠(11) 7.0 先制ゴールは完璧なヘディング。裏への動き出しで攻撃を引っ張った。

■sub
80(18)稲本潤一(20) 6.0 ボランチで攻守に安定をもたらした。
90+1(11)パウリーニョ(34) 6.0 少ない時間でボールカットを見せた。

■bench
安藤駿介(24) 田中裕介(3) 中澤聡太(7) 山越享太郎(25) 森島康仁(9)

■coach
風間八宏 6.0 よい結果をもたらした。交代枠の行使は遅かった。

■referee
家本政明 6.0 逆の印象を受ける判定もあったが、総じて順調に裁いた。

2014/07/16

140715C大阪1-2川崎(J1 #12)

C大阪1-2川崎(キンチョウスタジアム, 19:00KO, 15,873人)

ACLのために順延していたJ1リーグ第12節。
 J1リーグは、ワールドカップ中断期間からこの週末に再開する。
 その前の水曜日にACL出場4チーム同士の2試合が組まれた。

土曜日のYSCC横浜戦(天皇杯 R64)から中2日。
 C大阪も同じく延長戦を制し、120分間、プレーしている。

天皇杯に続いて先発するのは、GK杉山と小宮山の2人だけ。
 大きなターンオーバーを行っている。

対するセレッソ大阪は、先発10人を続けて起用する。
 MF長谷川アーリアジャスール(5)がMF楠神順平(11)に変わっただけ。
バーゼル(SUI)への移籍が決まった柿谷陽一朗(8)にとって、最後の試合となる。

■1st half
セレッソは、川崎の最終ラインまで強くプレスをかける。
 川崎は最初はプレスをかいくぐるが、5分すぎから奪われはじめる。
 ボールをキープできず、蹴ってもセカンドボールを拾えない。

セレッソはパスを繋ぎ、サイドからの攻撃や縦パスでクサビを入れる。
先制点は19分。
 楠神が左サイドを突破し、FW杉本健勇(20)を経由する。
 MF南野拓実(13)が右サイドを深く切り裂いてからセンタリング。
 流れるような展開から、MF安藤淳(16)がゴールを決めた。
川崎の最終ラインは横に揺さぶられて、対応が後手になった。

そのままセレッソの攻勢が続き、いくつもの決定機を作られる。
 しかし、GK杉山を中心に防ぎ、1失点にとどめた。

■2nd half
後半、田中に代えて、左のウィングに金久保を投入。
 左ウィングの登里を左SB、さらに小宮山を右SBに回した。

金久保が大島、中村とショートパスを展開し、ボールが回る。
 セレッソのプレスも弱まってきて、チャンスを作り出した。

57分、中村のスルーパスを小林悠が受け、抜け出したところでPK。
 DF藤本康太(4)がレフェリーの反対側で小林悠のユニフォームを引っ張った。
このPKを大久保が決めて、同点となる。

セレッソの運動量が落ちて、攻勢を強めていく。
75分、金久保がミドルを決めて逆転。
 大島のパスを金久保がスルーして、DFに当たって戻ってきたところをゴール右隅にシュート。
 GKキム・ジンヒョン(21)も反応したが、少し届かなかった。

79分、南野が大島への報復行為でレッドカード。
 大島もイエローをもらったが、走れなくなったセレッソが10人になった。
 川崎は安全なプレーに終始し、選手交代も的確に行って時間を使った。
 顔見世で柿谷が登場したが、特に見せ場は作れなかった。

■summary
セレッソは素晴らしかった前半に、2点目を取れなかったのが痛かった。
 後半にペースが鈍ってしまい、川崎の攻撃を防ぐことができなかった。

川崎は立ち上がりが悪く、徐々に良くなっていく流れ。
 初めてセンターバックに入った谷口が、思った以上に効いていた。
 コンディションに気を使いながら、引き続き面白いサッカーを見せてほしい。

■goal
19安藤淳(16)
60PK大久保嘉人(13) 75金久保順(18)

■judge
杉山力裕(1) 6.5 細かなミスはあったが、多くのシュートをセーブし、2失点目を防いだ。
田中裕介(3) 5.0 チーム全体が悪かった前半だけで交代した。攻撃時の位置が悪かった。
ジェシ(5) 6.5 クロスを何度も跳ね返した。手術明けの左膝の具合も良さそう。
谷口彰悟(15) 6.0 プロ初のセンターバック。ジェシのサポートを受け無難にこなした。
小宮山尊信(8) 6.0 左SBではもたついたが、後半の右SBでは中2日の疲労を感じさせなかった。
中村憲剛(14) 6.5 ミスパスが多かったが、攻撃的なパスを繰り出し続けた。
大島僚太(16) 6.5 まずまず。粘り強く守った。南野が退場した際には大島も感情的になった。
森谷賢太郎(19) 6.0 後半は気の効いたプレーで光っていた。
登里享平(23) 6.5 ドリブルでの突破、攻め上がるタイミングも良かった。
大久保嘉人(13) 6.0 バイタルまで下がることが多かった。PKを落ち着いて真ん中に決める。
小林悠(11) 6.5 よい動き出しを見せた。ファウルをとってもらえなかったが、PKを奪取。

■sub
46(3)金久保順(18) 7.5 パスを出して走って攻撃を下支えした。素晴らしい決勝ゴール。 
89(19)パウリーニョ(34) 6.0 ボランチでバランスをとりながら、ゲームを終わらせた。
90+5(11)稲本潤一(20) 5.5 ほとんどプレーに関与しなかった。

■bench
新井章太(30) 實藤友紀(2) 中澤聡太(7) 森島康仁(9)

■coach
風間八宏 7.0 金久保投入で局面を打開した。天皇杯でのターンオーバーの効果も出た。

■referee
佐藤隆治 6.0 PKと南野の退場の判定は妥当と思われるが、微妙な判定が見受けられた。

2014/07/13

140712川崎2-1YSCC横浜(天皇杯 R64)

川崎2-1YSCC横浜(等々力, 19:00KO, 5,490人)

天皇杯2回戦。川崎は2回戦から登場。
昨年のJ1で3位だったため、トーナメントのブロックの端に位置している。

昨年の2回戦は高知大学に苦戦(2-1で勝利)したが、対戦相手のYSCC横浜(神奈川県代表)はJ3チーム。
J3リーグでは現在12チーム中最下位だが、天皇杯1回戦はSRC広島(広島県代表)に3-1で勝利している。

C大阪戦(J1 #9)を中2日で迎える川崎はサブ組主体。
ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ戦(ACL GL #3)でもターンオーバーをしたが、さらにメンバーを落としている。

■1st half
川崎のチグハグした攻撃に対し、引いて守るYSCCがカウンターを仕掛ける。
5バックで中央を固められ、右の安、左の山越がサイドからクロスを放り込むが、チャンスを作れない。

公式戦デビューとなった可児は、ボランチに入って攻撃の起点となる。
前線との距離が遠く、パスの出しどころが少なかったが、悪くはなかった。
中村や大島とタイプが似ているので、どちらかと組ませても面白いと思う。

■2nd half
後半開始から安に代えて小林を投入。
フラットな5バックの裏を狙う動きで攻撃を活性化させる。
いい時間帯だったが、54分、カウンターでYSCCに左サイドからクロスを上げられる。
小宮山とCBの対応が甘くなって、きれいなゴールを決められてしまった。

川崎らしい展開となるが、59分に大島、79分にワールドカップ帰りの大久保を投入。
パスが回り、惜しいシーンを作り出すが、中央から崩すまでには至らない。
攻めるポイントが見つからないまま、後方でのボール回しの時間が長くなる。

ロスタイム、高い位置まで上がった小宮山が大島のパスを受けてミドルシュート。
コースがないかとも思ったが、見事にキーパーの右を抜いて同点ゴール。
負けていてもおかしくない展開を救った。

■extra time
延長戦に入ると、川崎らしい攻撃が見られるようになる。
小林、大久保を中心に、金久保、森島、大島が絡んでシュートを繰り返す。
117分に大久保がドリブルで守備を引き付けて、PA内の小林から森島へと渡る。
PK戦まで残り3分のところで、ようやくゴールが決まった。
森島はポストプレーでボールを失うことが多かったが、最後に結果を出した。

■summary
YSCCはしっかり走ってチーム戦術を忠実にこなしていた。
ロスタイムまでリードしていたが、時間稼ぎを行わず、好感が持てた。
ジャイアント・キリングに値する素晴らしい内容だったと思う。
小宮山のミドルが決まってしまったが、いいゲームを見せてくれた。

試合終了後、川崎側にも挨拶に来てくれた。大きな拍手に包まれた。
J3で低迷しているが、Jの理念を体現する良いチームだと思う。

川崎は負ける一歩手前までいっていたが、最低限の結果を残した。
もっと良いプレーが見られれば楽しかったが、今後のスケジュールを考えると、サブメンバーを活用したことは意義がある。

■goal
90+1小宮山尊信(8) 117森島康仁(9)
54松田康佑(9)

■judge
杉山力裕(1) 6.0 出番は少なかったがミスなし。失点は仕方がないが、欲をいえば止めたい。
小宮山尊信(8) 6.5 右SBで上がってからのクロスは効果なし。チームを救う同点ゴール。
中澤聡太(7) 6.5 稲本や福森をサポートして最終ラインを安定させる。ロングフィードをもっと出したい。
稲本潤一(20) 5.5 引いてからの守備は安心できるが、カウンターで背走するともろさを見せた。
福森晃斗(22) 5.0 ボールをもらっても淡白に戻すことが多い。プレースキックは良かった。
可児壮隆(26) 6.0 簡単にさばいてボールを散らした。もっと攻撃的なパスを増やしたい。
パウリーニョ(34) 5.0 パスのタイミングが周りと合わない。守備のバランスは良いが、相変わらず不要なファウルが多い。
山越享太郎(25) 5.5 攻撃力は物足りないものがあるが、頑張って走っていた。
金久保順(18) 6.0 FWから下りてボールをさばく。大島が入ると近い関係でパスをつないだ。
安柄俊(27) 5.0 シュートは放った。右サイドでは効果的なプレーを見せられなかった。
森島康仁(9) 6.0 ポストプレーの成功率が上がらない。ボールを失うことが多かったが、決勝ゴール。

■sub
46(27)小林悠(11) 6.0 チームの雰囲気を変えた。ゴールはなかったが、決勝アシスト。
59(26)大島僚太(16) 6.0 ボールが集まって攻撃を指揮した。ミドルを積極的に打ちたい。
79(22)大久保嘉人(13) 6.0 下がってボールを受けて、ドリブルで目先を変えた。

■bench
新井章太(30) 登里享平(23) 谷口彰悟(15) 森谷賢太郎(19)

■coach
風間八宏 6.5 交代策で結果を出した。内容は悪かったが、中2日のC大阪戦を考えると妥当なメンバー構成。

referee
福島孝一郎 6.0 いくつか微妙な判定はあったが、おおむね適切で試合を作った。