2017/03/15

170314広州恒大1-1川崎(ACL GL #3)

広州恒大1-1川崎(天河体育中心体育場, 20:00KO(21:00JST))

ACLのグループリーグ第3節は、中国の広州恒大とのアウェイ。
4チームのうち、最も強豪と見られる相手。

イースタン戦(ACL GL #2)では、大きなターンオーバーを行った。
GL突破に向けて重要なこの試合はフルメンバーで臨む。

中3日となった柏戦(J1 #3)から先発は2人が変更。
田坂は広州遠征に帯同していたが、前日練習で負傷して欠場。
また、奈良が出場停止のため外れている。
代わりに井川と板倉が先発する。

ベンチには新たに長谷川と知念が入る。
愛知学院大学から新卒で加入した知念は、初めてのベンチ入り。
ハイネルも出場停止のため、ベンチ外となった。

広州恒大の監督はルイス・フェリペ・スコラーリ。
かつて監督として、磐田、ブラジル代表、ポルトガル代表を率いた。
現役ブラジル代表のパウリーニョ(8)が先発している。

■1st half
田坂が欠場したため、井川が右SBに入る。
最終ラインは右から井川、谷口、車屋、登里。
そして板倉がネットとボランチを組み、大島は前MFに配置された。

スタジアムの芝は深く、ボコボコで荒れている。
ボールが走らないため、パスが通らない。

25分、ルーズボールを板倉がヘッドでゴール前に落とす。
走り込んだ阿部がGKと1対1となるが、GK曾誠(19)がクリア。

26分、カウンターでMFリカルド・グラル(11)が左サイドを抜け出す。
パスを受けたFWアラン(7)が、詰めてきた谷口と車屋の間を抜くゴール。

先制されたあと、広州恒大の一方的な攻撃が続く。
28分、谷口を抜いたMF于漢超(20)の決定機をソンリョンが止める。
30分、パウリーニョが井川を抜いてクロス。
 于漢超の至近距離のシュートは登里がブロックしてバーに当たる。
31分、ソンリョンがスローで直接アランにパスミス。そのまま1対1となるが、自分で止める。
34分、左からのクロスをグラルがヘッド。
いずれも低い位置で簡単にボールを失って、多くの決定機を作られた。
追加点が生まれなかったのが不思議なくらいの状況。

34分、早くも板倉を下げて森本を投入する。
併せて右SBに登里、井川がCB、車屋が左SBと最終ラインの構成を動かす。
これでパスがつながるようになり、カウンターへの守備も機能する。

■2nd half
後半になると、パスをつないで広州恒大を押し込んでいく。
中村がボランチの間に下りて、ボールを落ち着かせる。
ネットと大島と3人で、頻繁に顔を出す前線に縦パスを入れていく。

広州恒大はカウンター主体。
ただ、前半よりもボールを奪う位置が低くなり、効果的に仕掛けられない。

60分、井川が負傷し、長谷川を左SBに入れ、車屋をCBに戻す。
ボールを長く持って押し込みながら、決定機を作る。

61分、小林が大島のスルーパスでDFを抜き去ってシュート。
GKも触れず、決まったかと思ったが、ポストに当たって跳ね返った。
86分には阿部が中村のパスを受けてシュート。これはGK曾誠がセーブした。

90+2分、PA内で于漢超がハンド。
クリアボールを追いかけ、三好に競り勝つため体勢を崩して手が出てしまった。
もし三好がボールを拾っていても、防ぐチャンスはあっただけに残念なプレー。

90+5分、小林がPKを決めて同点に終わった。

■summary
試合前日のケガによる田坂の欠場が大きく響いた。
井川が右SBに入ったが、カウンターに対処できなかった。
森本が入り、井川がCBに動くと目に見えて安定しただけに、最初の配置が残念。
しかし鬼木監督は、劣勢の原因を見抜き、34分で選手交代を選択して状況を改善した。

前半の広州恒大の分厚い攻撃は圧巻だった。
逆に後半になると川崎がパスをつないで攻め込んだ。

広州恒大は後半になるとまったくプレスに来なくなった。
川崎は余裕を持ってボールを持ち、広州恒大の最終ラインはべったりと下がる。
サイドを警戒して絞ってこないため、中央への縦パスが通った。
スルーパスを狙い続けて、多くのチャンスを作った。

ただ、ゴールは単純なカウンターとPKから。
それほど見応えがある試合とはならなかった。

広州恒大のプレーはクリーンだった。素晴らしいこと。
また、パウリーニョは別格のプレーを見せた。
縦パスを読み切ってパスカットして、カウンターでラストパスを供給する。
ぜひ等々力でもすごいプレーを見せてほしい。

アウェイでのドローは悪くはない結果。
ただ、ACLではドローが3つとなり、グループリーグで3位のまま。
残りの3試合で勝利が必要となった。

右SBを支えてきた田坂の負傷はとても厳しい。
井川もケガで交代したが、それぞれ重症でないことを願う。
他の選手も負荷が大きくなっている。
長いシーズンを見据えて、適度に休ませながら選手を起用したい。

■goal
26アラン(7)
90+5PK小林悠(11) 

■judge
ソンリョン(1) 6.5 失点後、決定機をことごとく止めた。キックとスローは不安定。
井川祐輔(4) 5.0 右SBではスピードがなく何度も抜かれる。CBに移ると安定。負傷交代。
谷口彰悟(5) 5.5 ミスはあったが耐えた。16分にイエロー、30分に抜かれて決定機を与える。
車屋紳太郎(7) 6.0 CBでカウンターに対抗する。SBでは積極的に上がっていった。
登里享平(2) 6.0 左SBから右SBに動く。右でも左と遜色ない動きができていた。
板倉滉(28) 5.5 アンカーでパスを受ける。悪くはなかったが、交代後、チームは生き返った。
ネット(21) 6.0 ボールロストが多かったが、ピッチに馴れるとアイディア溢れるパスを見せる。
大島僚太(10) 6.5 マークに付かれても前を向いてスルーパスを出す。走ってカウンターを遅らせる。
阿部浩之(8) 6.5 25分、86分に決定機を迎えたが、決められず。ショートパスが周囲と噛みあう。
中村憲剛(14) 6.0 パウリーニョを避けてボールを握る。プレスが少なく考える時間に余裕があった。
小林悠(11) 6.0 71分、ポストに当てるシュート。PKは中央に。GKが先に動かなければ止められたかも。

■sub
34(28)森本貴幸(9) 6.0 1トップで最終ラインを押し下げ、味方の攻撃を引き出す。守備でプレスも掛ける。
60(4)長谷川竜也(16) 6.0 左SBに入る。1点を追いかける状況で積極的に仕掛け、ボールをキープした。
82(9)三好康児(13) 5.5 トップ下に入る。位置が良くなくボールをもらえなかった。

■bench
新井章太(30) 森谷賢太郎(19) 狩野健太(25) 知念慶(20)

■coach
鬼木達 6.5 最初は最終ラインの組み合わせに失敗したが、34分に修正して立て直した。

■referee
アブドゥルラフマン 6.5 ファウルを流しながら試合を落ち着かせた。PK判定は妥当。